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米津玄師:脊椎がオパールになる頃[幕張公演3/10]を見た

米津玄師:脊椎がオパールになる頃[幕張公演3/10]を見た

2019-03-11

2019年3月10日。千葉は幕張メッセで「米津玄師LIVE tour ー脊椎がオパールになる頃ー」が開催されました。この日の公演に行くことが出来たので、自分の中でまとめておきたいなと思います。

ライブ歴

米津玄師というアーティストを見つけたのは、ある日のニコニコ動画でだったことははっきりと覚えている。なんでもない動画ばかりを見ていた僕のトップページに現れた、”ゴーゴー幽霊船”という曲。衝撃だった。

そこから色々なアーティストを聞くようにもなった時期が重なり、ついにその日は来た。「米津玄師がライブをするらしい」。元々あまり人前に姿を見せないことから『米津玄師は存在するのか』という議論さえ勃発することもあった。そんな人が、人前に立ち、ライブをする。もちろん、なかなか当たらなかった。

そうしてようやく行ったライブが2014/12/2 「帰りの会 続編」だった。実質的ワンマンライブとしては3回目ほどのライブだが、正直その頃は、お世辞にも彼のライブはライブと呼ぶには微妙な、まだまだ未完成なものだったと思う。

だが進んでいく米津玄師という人間は、flowerwallがCMのタイアップに決まりそれに伴った2015/4/22「花ゆり落ちる」、2016/1/15「音楽隊」の開催と、どんどんと規模を大きくしていく。Bremenというアルバムを発売したリリースツアー、まさに楽曲たちが先頭を切り、頭角をメキメキと現し始めているところだった。

 

彼の楽曲はライブをやるより早く、そして大きく認知されていく。人気のスピードが、ライブのキャパを超えて人気になっていく。

そうした中、去年2018/1/10「LIVE/Fogbound」、武道館でライブを行った。自分名義のアルバム、「diorama」を発売してからはや6年のことである。スターダムを駆け上っていく、とは本当にこのことだと思う。

 

そんな彼がやる最新のライブが、2019/3/10「脊椎がオパールになる頃」。幕張メッセ公演を見てきた。

セットリスト順に感想を。

Flamingo

最新シングルからの1曲目。幕張メッセは正面左右にモニターがあるのだが、そちらにピンクの逆三角形を投影しての開幕となった。自分はL2ブロックと決して近くない部分だったので、米津玄師自身を目に入れるのはなかなか遠い距離だった。出だしの声調子は最高かと思えるほど伸びやか。

LOSER

「イエエアア!」との掛け声から始まったアップテンポ曲LOSER。サビの部分では観客のフー!という掛け声も合わさって、会場の熱が高まってきた印象。せり上げの台に米津氏自身が立ち、段々と高く登っていく姿・また曲が終わったあとの観客を座り見下ろす姿は偶像崇拝の権化に思えた。

砂の惑星

キー下げ曲。初音ミク投稿→米津玄師セルフカバーとのことで、ミクファンからの支持も高いこの楽曲。MVは荒々しいミクさんが荒野を歩いていくという仕立てだが、その背景映像のみが流れている演出。…が、ラストサビにはモノクロ反転のミクさん映像が流れる演出へと変貌。一緒に、という感覚は今もなお忘れていないことを現しているように思えた。

飛燕

アルバムBOOTLEGの1曲目。個人的には高く飛んでいく、という印象が強く晴れやかな楽曲のイメージだが、こちらも米津ライブにありがちな少しキー下げを行い歌っていた。やはりサビの伸びやかさもあり突き抜けるかっこよさは健在。また、この楽曲はカメラで歌っている米津氏本人をモニタに投影。その演出方法も相まって、よりかっこいい曲に仕上がっていた。

かいじゅうのマーチ

前述したモニターにはその楽曲に沿った映像やカメラワークがなされ投影されるのだが、この楽曲にはエジプト文明のような壁画テイストなタッチの絵。そちらに見入っているBGMになれるほど急に落ち着いた雰囲気へと流れた。

アイネクライネ

前曲の静けさのハウリングをそのままにイントロへ。もはや定番曲と化しているこの曲だが、背景モニターは教会の窓のような明かりが差し込む映像に、男女を表すスペードとハートのマークが様々動く隠喩の形だった。いつも歌詞間違いが怪しい歌。

春雷

飛燕同様、キー下げ曲の代表。もともとのキーだと確かに持たないなと思えるほどハイトーンな楽曲だが、だからこそ出ている明るさや春の感じが僕個人としては結構好きだった。まぁ、歌えないトーンでやっても結構厳しいのもあるので、歌いやすいトーンで行う判断は仕方ないと思う。こちらの映像も花と絵の具のカラフルさが綺羅びやかで、いい織りなし方をしていた。

Moonlight

ステージ奥上方にせり出し(?)舞台が現れ、ダンサー二人が舞う姿とともに満月が映し出されるという演出。僕自身が普段から全く歌詞を見ない人なのでアレだが、踊りから捉えられたイメージはすれ違い・別れ・寂しさ…のような印象を得た。米津氏自身も少し儚げに歌っているように聞こえた。

打上花火

Moonlightのアウトロのさらさら…と流れている中、燭台に火が灯され始まる鈴虫の鳴き声(=打上花火米津ver.のイントロ)。どこかしらでサプライズDAOKOさんやると思っていたけど、リアル世界では邂逅していないというのも粋だと感じる。あの夏のは思い出だ、なんてそんなことを言われているような気がして。曲自身はコラボverより落ち着いた、アコースティックバージョンとでも言われるような雰囲気。燭台も相まって朧気なステージ。

amen

正直に言ってしまおう、この日の中でのベストアクトだと感じた。ステージ中央には巨大な演出装置があり、そこから照明や映像などが流れていた。僕が見ている場所が場所だけに、正面から見たらキレイに見えるものなんだろうな、と認知していたが違った。上下に駆動できる巨大装置で、階段のような、モニュメントのようなせり出しの動きをする。amen自体元々物々しい曲であるが、モニターに動物の左右の目がそれぞれ映し出され、先述のモニュメントが鼻のような位置にあり、ステージ全体がクジラか像か、そのあたりの動物の頭の一部を見ているような錯覚を覚えた。amenではダンサーも祈りを捧ぐ様な形で踊り、更に禍々しさが加速する、いい意味で不気味なアクトだった。米津玄師の曲の中にある雰囲気を汲み取れるような、そんな曲だった。

Paper Flower

amenの空気感そのままにドス黒い、愚直に表せば低く落ちたような曲。Lemonのシングルを買った人からすればまどろみ溶けるこの曲を聞いてまさかLemonと同一人物が…?みたいな印象を抱きそうだが、実際問題僕が抱いている米津玄師の曲の「突き抜けたプラス」ではなく、「斜め上方向へ向かう小さなプラス」という印象の曲の一つ。amenと連続した段階で僕は、今日はライブではなく、作品を作っているだなと強く感じた。

Undercover

イントロの腹に直接響くようなドラムから始まるこの曲は、8名ほどのドラム帯を引き連れての演奏となった。あのイントロのドラムが一番印象に残るが、この日は映像という演出方法も功を奏してよりインパクトの強い1曲と化していた。アルバムの1曲でしかないこの曲がこんなにもスポットライトを浴び、尖った1曲に仕上がっていた。

爱丽丝

KingGnu常田氏と共作、ということはずっと認知していたがライブに行くまでにドハマリしてしまった故、今までとは違ったテンションで見ることができた。amenのときに触れた巨大装置に今度は映像と繁体字のような文字が流れており、繁華街のような印象もある曲。それは正直もとからあるけど。

ゴーゴー幽霊船

会場ごとに違う枠、TEENAGE RIOTとの選択曲だそうだが、当会場はゴーゴー幽霊船とのこと。僕はこの曲で彼を知ったので否が応でもテンションは上がるし、鳥肌は立つ。イントロのゾッとする感じからもちろん察せるんですがカウントの1,2,3!でもわあ!となる曲ですね。ここに来て急に語彙力が減る。

ピースサイン

その名の通り観客がピースサインを掲げる当曲。それはそうと、僕のヒーローアカデミアというアニメの主題歌に選ばれた経緯もあってか、モニタに映る米津玄師を漫画枠のような枠で囲んでいるという演出もあり、より”米津玄師は現物のものではないのか?”という感じが増した印象。ライトも赤と青でヒーローチック…いや、轟焦凍のイメージなのか・・・?

Nighthawks

この曲の前に恒例の長いMCがあり。「米津玄師という船に乗ってくれた船員(皆)を誰一人として落としたくない」という、”昔の彼からすれば考えられないような人間になったなぁ、変わったなぁ”という…思い、それすらも懸念していたトークだった。変わっていないということを証明したい、ということを話していた。

その流れで当曲。出だしの歌詞が後々響いてくる、小さな希望をつれつれと歌う姿も変わっていないと思える。

orion

個人的な話だが最近プラネタリウムを初めてしっかりと見た。球体に移される星空は本当に美しく、自分の想像の範疇を超え、言葉が出なかったことを只管飲み込んだ。orionでもモニターには星空が投影され、星空を見る丘陵のような部分も移された。まさしくMVのような広大な泉のような場所で見る星空に合う曲で、ただただ感傷に浸らせてくれるようなアクトだった。

Lemon

「自分の手元を離れ、コントロールできない部分にまで広がっていった」「その広がりを傍から見ているという、不思議な感覚になっていた」と語るほど、大きくなっていった彼の代表曲です。以前の武道館時には発表もしていなかったこの曲。ギターを弾いたりハンディで歌ったりといろいろしていた米津氏ですが、最後は両手でマイクを抱えしっかりと歌っていた。会場も無理な手拍子や挙手などなく、ただただ聞き入る。本編はこれにて終了。

 

以下、アンコール。…ですが、モニターには「本日は米津玄師の誕生日です、皆さんでサプライズをしてもらうため、合図があるまで待ってください スタッフ一同」という文字が。

…紆余曲折あったのですが、一部ファンがアンコールのときに歌を歌おう!と言い、対して違うファンがそれは違う!といったのがわりかし小火ったこともあり対応したスタッフの柔軟性、素晴らしさに本当に感服しました。正直この懸念のためだけにライブ自体も憂鬱でしたが、すっかり晴れやかになりました。

改めて、アンコール。

ごめんね

曲名と違って明るいトーンが印象的なこの曲。妖精を思わせるようなダンサーたちがステージを駆け回り、エンドロールの始まりのような開けた印象を持ってきます。巨大装置も下に降り、大団円だといわんばかりの演出に、観客達も手拍子を。

ここで先程のサプライズがベース須藤氏のラインに沿ってスタート。ハッピーバースデーをみんなで歌い、米津氏にスタッフ作成のフラワーケーキガ贈呈されます。

クランベリーとパンケーキ

結構好きなLemonカップリング曲。妖艶なベースラインから歌い上げられる米津氏は容易に想像できたが、イントロのアレンジメントがん?となる入りだったこと、またいかんせん途中からステージ照明が全て落ち、急遽スポットライトのみで米津氏を照らしていたため、暗めの曲に暗めの印象だけを抱かせる形になってしまっていたのが残念だった。トラブルであれば照明のプロ仕事だが、あれが演出なら正直ガッカリと思ってしまったのが自分としても悲しい。他行った方どうなんだろうか。

灰色と青

大トリ曲。菅田将暉氏とコラボした楽曲ということもあり一時大きな話題を呼び、また前回武道館ファイナルでは本人が登場し共に歌うという素晴らしい演出もあったが、この日はドラマの最終回ということもあり米津氏一人で歌い上げていた。2番も米津氏が歌うのはある種新鮮で、モニターには海中から水面を見上げる光のような映像が流れ、大きく開いていくというイメージをわかせ、希望をもたせているような。そんな締めだった。

総じて。

と、いうことでそれぞれ3行ずつ程度にまとめた記事を書いてみた。ライブレポートなんて久しぶりだし、ましてや米津玄師のライブともあればいろいろな意見が散見されると思い想いのままに綴ってみたが、いかんせん間違いも多く思える。

ただ、やはり一番強く思ったのが、”ライブを見に来たと思っていたが事実コンサートだったこと、そしてそれはコンサートではなく作品だったこと”ということだ。

照明や音響やステージ。観客も演者も米津自身も全て混じってできた一つの美しい空間、それがこのツアーの、脊椎がオパールになる頃だったのかもしれない。なんて。